ジャーナリスト・ネット

東アジアとその周辺およびメディアを中心とした「J-Netスペシャル」登場!記事を読むには読者登録(無料)が必要です。

mail:info@journalist-net.com

English Chinese Korean

ニュース | スクープの窓 | コラム「風」 | ブックレビュー | エッセー | 文化 | ルポルタージュ | 取材よもやま噺
ビデオチャンネル | インタビュー | J-Net特集 | 寄稿 | 思考する読書韓国で暮らして | あの日あの時
私の視点・北からの便り | 紀行 | 日曜新聞書評欄簡単レビュー | データバンク | アートギャラリー | 案内

<< 映写室「ユゴ~大統領有故」イム・サンス監督合同会見(前編):犬塚芳美 | メイン | この一年・この一冊「ロシア闇の戦争」:片山通夫 >>

2007年12月20日

本澤二郎の政治評論「日本経済(日経)新聞」:本澤二郎

[東京=「ジャーナリト同盟」通信提供]上海の虹橋空港から中国東方航空の羽田行きの便に乗ったときのことである。臨席の日本人ビジネスマンが日経新聞を開いた。そのとき、ふいに社説がちらり目に入った。意外な見出しが躍っているではないか。気になって、彼が見終わるのを待ち構えて、自ら手に取ってみた。

2007年12月15日付朝刊だ。
 「参院は速やかに給油新法への意思示せ」が気になった見出しである。「急いで成立させてブッシュを安心させよ」の意味であろう。これでは、まるで産経か読売そっくりではないか。「今頃気付いたのか」としかられそうだが、筆者が現役のころの日経は政府広報紙ではなかった。政治部記者もごく普通だった。バブル経済をあおった経済部記者に問題記者がそろっていたとしても、筆者の知る日経政治部記者におかしなものはいなかったように思う。
 むしろ、近年になって朝日新聞の右傾化のほうが気になっていた。友人弁護士は毎日新聞に切り替えたし、元環境庁長官は朝日をやめて東京新聞を読んでいる。筆者も3年前に朝日と縁を切った。変節した朝日社説にいらついてしまい、精神衛生上よくないからである。第一、今の朝日はCIAとつるんでいるような印象を与えている日米同盟論者が社論責任者になっていると見られているくらいだから、右翼も標的を失ってたじたじたなっているらしい。朝日攻撃に特徴を出している週刊誌の「週刊新潮」も、このところネタ不足で弱っている、という話を聞いた。
 ところで、日経社説は「参院はいたずらに審議を引き延ばすのではなく、速やかに新法案への意思を示す責任がある。参院第一党の民主党には強く審議の促進を求めたい」「参院で否決された場合、与党は衆院の3分の2以上の賛成で粛々と新法案を再議決すればいい。ためらう必要はない」「インド洋での給油活動は、テロとの戦いで日本が貢献できる貴重な分野である。早期に給油再開を」「与党が再議決すると、野党側が参院に首相の問責決議案を提出する可能性が取りざたされている。しかし、問責決議案に法的拘束力はない」などとまるで野党に全て非があるといわぬばかりの論調である。
 日経が改憲論を主張するようになったということは聞いていたが、それにしてもこれほど露骨に政府のお先棒をかついでいるとは、この社説を読むまで知らなかった。能天気と笑われそうだが、事実だから弁解のしようがない。
 血税を使用しての戦争への給油活動は、小沢一郎がいうように集団的自衛権の行使に当たり憲法違反である。小泉・安倍内閣に次いで福田内閣も憲法違反を強行している。それを日経は支援の論陣を堂々と張っているのである。
 民意は7月の参院選挙で示されている。野党に分がある。それを百も承知で福田とブッシュの武力行使を正当化しているのだ。
 1、大連立を画策する論調を張っている読売は公器に値しないものだが、日経も同様である。これまで小泉・安倍新聞に徹していた院内紙でも「石油無料ばら撒き作戦。高騰石油くれる間抜け海軍。1年くらい休んで熟考したら」と酷評する見出しを掲げている。袖見出しは「軍艦を偽装して石油をもらえ。バレたら偉い次官にもみ消してもらえ」である。海軍とは海上自衛隊、次官は逮捕されている守屋のことだろう。庶民の感情がにじみ出ていてわかりやすい主張である。国民に奉仕し、権力に屈しないことがジャーナリズムであり、それを公器と呼んでいる。
 2、日経は福田内閣とブッシュ政権に奉仕している。そして、もう一枚皮を剥ぐと財界の代弁者である。より具体的にいうと、石油財閥と人間を殺す兵器財閥ということになろう。したがって、これはもうジャーナリズムではない。国民のみならず人類にとって有害であろう。そんな新聞ビジネスに貢献する編集者は、大金を手にしても心安らぐことはないはずである。
 3、平和憲法に対する認識が完璧に欠落している新聞は、もはや日本の新聞ではない。右翼の立場に立脚しているのである。恐らく歴史認識もあいまいだろう。アジアに立脚できない新聞だとすると、財界の首を絞めることにならないのか。門外漢ながら心配してしまう。
 4、目を覚ませ、といいたい。戦後の財界人は、戦争体験もあったのだが、右翼は少なかった。リベラルな平和主義者が多数派であった。それゆえに中国との国交も回復できた。田中―大平連合の平和外交を支えていたのは財界であった。武器・弾薬財閥が正面に立つことはなかった。当時の日経もまともだった。
 この機会に猛省を促したい。ジャーナリズムに戻れと。(2007年12月19日記)

2007年12月20日 07:35

友達に教える    ご意見・ご感想はこちらまで