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2008年02月26日

寄稿 「夜間中学は今」91(最終回);白井善吾

 日教組第57次教育研究全国集会理科分科会

 日教組第57次教育研究全国集会(全国教研)は2007年2月2日~4日東京で開催され、第5分科会理科教育の共同研究者として参加した。

 日教組は結成当時から教育の民主化と研究を追求。教育研究を活動の大きな柱とし、1951年に第1次全国教研を栃木県の日光で開催、昨年第56次まで毎年継続し全国各地で開催してきた。
すでに、新聞報道があったように、全体集会は前代未聞、「中止」となった。会場となったプリンスホテルが東京地裁、高裁の「日教組に会場を使用させなければならない」との3度にわたる、決定を無視たことが原因である。
 ホテル側の行為は司法制度の根幹を揺るがす暴挙であり、集会・結社・表現の自由を保障した憲法21条にも抵触し、教育研究活動の自由を妨げるものである。どうして、公共の施設でなく、民間のホテルの使用になったのか、背後にあるものは何かなど、疑問点が残る。別途述べてみたい。
さて、理科の分科会である。
 教科書を使おうにも使えない、自主編成による夜間中学理科の学習を試行錯誤、行なってきたのであるが、その私に理科教育の共同研究者をとの話しである。お受けするか、ずいぶん悩んだ末、「夜間中学の話をしたら」ということだったので、夜間中学の実践を基に理科分科会の討論に参加することにした。
 教育行政の右傾化、画一化が進行、全国学力テストの強行、「受験学力」「点数学力」への傾斜がいっそう進む中、ここにきて、科学技術立国を前提に、国際的経済競争に勝ち残るという、国の方針が加速的に進められてきている。
 分科会では具体的な問題として次の4点を掲げた。① 核、エネルギー、環境についてどう考えるか ② 2007年を象徴した「偽」という社会をどう考えるか ③ PISAをどう考えるか ④ 「学力」とは何か 
この問題に、次の4つの柱を立て、討論を行なった。一つに私たちは今、地域でどう生きているか。二つに地球市民としての意識をどう培うのか。三つ目として、ソフトパス・循環型社会の実現 そして、4つ目に理科に命を吹き込み「生きた授業」の実践の4点の柱である。
 全国から寄せられた32本のリポートを素材に、熱のこもった討論が展開された。
 ハードパス、ソフトパスについて理科分科会では1999年以降、議論を重ねてきている。平和・人権・環境・共生を人々の暮らしと社会のあり方の根底に持続可能な社会を追求するのがソフトパス(ほどほど路線)。これに対し、エネルギーと資源は使い放題で、利便性の高い社会をめざすとするのがハードパス(ごりごり路線)で、競争は必要、格差は自己責任だとし、地球環境よりは経済成長を優先させる路線である。今次教研も数多くのソフトパスの実践報告を受けた。
 事実を明らかにすることなく、柏崎・刈羽原発の事故(2007.7.16)をひたすら隠し続けることに象徴される、核・エネルギー、環境問題についても討論が展開された。
 PISA の提起する学力と科学リテラシーについても論議した。試験でいい成績をとったり、偏差値の高い学校に受かることが学力が高いと判断される現実がある。しかしその「学力」が犯罪的である事例があまりにも多い。すでに述べられてきた深刻な環境問題に「勉強のできる人たち」が果たしてきた役割を想像してみればすぐに判る。として私たちにとって学力とは、

・自らがおかれている立場を表現する力
・自らがおかれている歴史認識ができる力
・現代社会の諸問題に対し、人権・権利の主張と行動できる力
・民族の自文化を大切にする力
・自然が発しているさまざまなシグナルを受け取ることができる力・・

の5点を提起、実践を議論した。

 もう1点報告しておきたいことがある。組合教研の重要性が再確認されたことである。子どもたちの生き生きした顔に元気づけられ、厳しい労働条件を跳ね返し、教組教研に結集し、若い組合員も、若くないものも、集団で取り組まれた自主編成のすばらしい報告が相次いだ。教員の感動を持った学びが、子どもたちにも波及したことがわかる、子どもたちの文章がつづられていた。明日を担う、教組教研の原点が明らかになった。
 「緑の山河」は歌えなかったが、成果が確認できた三日間の分科会論議であった。ある参加者が次のように語った。「理科教育」を変えることで「日本」を変えると。その哲学(基本)がソフトパスだ。

( 白井善吾さんの長期連載「夜間中学は今」は今回26日で最終回です。今後は単発記事としてお届けします)

2008年02月26日 00:00

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