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2008年02月29日

本澤二郎の国際評論「イスラエル首相」;本澤二郎

[東京=「ジャーナリスト同盟」通信提供]
 2月28日夕、日本記者クラブで行われたイスラエルのエフード・オルメルト首相会見を覗いてみた。やはりいつもの会見と様子が違う。クラブ9階のラウンジから10階の会見場への階段が閉鎖してある。10階踊り場で記者の手荷物と身体検査を、かの国の係官がしている。予想外の対応に、これに何度もひっかかる記者が現れた。担当者が女性というのがミソであるが。


 オルメルト発言を聞いていて感じたことは、中東の和平道遠しという残念な印象しか残らなかった。
彼はパレスチナのガザ地区から飛んでくるロケット弾の無法ぶりを必死で訴えるだけで、自身の対応を一方的に正当化するだけの、寛容さをひとかけらも持ち合わせていない指導者でしかなかった。
 「ロケット弾がビルに着弾し、何千人もの南部のイスラエル人が恐怖と不安の日々を過ごしている。死傷者は少ないが、人々は昼も夜も、何年も人生を奪われている。私にはどうしても国民を守る義務がある。テロを根絶したい」と会場に訴えかけた。いつもの調子の発言なのであろう、彼にはメモを必要としなかった。
 他方で、米国が仲介した和平プロセスに「努力したい」と軽く付け加えた。
 福田首相ら日本政府要人との会談では「イランや北朝鮮の核開発、ヒズボラ、ハマスの恐怖に懸念を表明した」ことも明らかにした。北朝鮮を悪の枢軸とも決め付けて、最近はブッシュの口からも聞こえなくなった言葉をイスラエル首相として公然と吐いた。
 国際社会では、イスラエルの核保有は常識になっているが、それは一切触れずに相手ばかりを非難するだけだから説得力は皆無だ。
 「平均5・2%の経済成長をしている。海外投資が3倍に増えている。OECD加盟を準備している。それでも米国の支援は必要だ。これは国防予算に入っている。米国の支援は不可欠だ」とも開き直るオルメルト首相に、平和主義者は懸念するばかりである。
 ガザを支配しているハマスは、選挙でパレスチナの代表に選ばれたことはよく知られているのだが、彼らとの交渉は「しない」という。なぜなら「彼らはテロリスト。交渉はありえない」と決め付ける。
 エジプト紙記者に「ガザはダルフール、アンゴラについで3番目にひどいが」と指摘されても「食料は十分ある。快適とはいえないが」と聞く耳をもたない。
 首相経歴をみると、28歳で政治の世界に飛び込んで、途中、エルサレム市長をしているくらいで、あとは国政に参画する62歳のプロの政治家だ。社会生活の経験がない点で、日本では小泉、小沢両氏と似ている。福田康夫首相がややましなのは、サラリーマン体験をしている点にある。
 イスラエルはことし建国60年というが、この国のリーダーの話を聞いていて、正直なところ尊敬に値する指導者だとは思えない。中東の混乱と混迷を暗示するばかりである。いい指導者選びが、いかに大事なことかと教えてくれた記者会見であった。
2008年2月29日記

2008年02月29日 17:21

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