2008年03月29日
コラム「風」 『沖縄ノート』裁判:三室 勇
今回の大阪地裁判決は、もし安倍政権下で行われたとすると、どんな判決になったのだろうか。ひと味ちがった判決文ではなかろうか。この問題は政治的な状況と無関係ではないはずだ。
▼MSN産経ニュース「主張」は、「教科書などで誤り伝えられている“日本軍強制”説を追認しかねない残念な判決である」と書く。しかし、またMSN産経ニュースでは「沖縄集団自決訴訟・大江氏側会見詳報」を載せている。この裁判の背景に政治的な動きがあった。2003年の有事法制(戦争をするマニュアル)があり、2005年に沖縄ノート訴訟が提訴され、2007年に教科書からいったん軍の関与が削除されるが、11万人集会といった感動的な集会がもたれた。そのほったんに有事法制があると、大江氏側会見内容を詳しく伝えている。
▼「新しい教科書をつくる会」は、「請求棄却」の不当判決!(大阪地裁) 原告側は即刻控訴の方針と速報している。藤岡信勝会長は「はじめに結論ありきの不当かつ最悪の判決だ。マスコミの論調に追随し、司法の独立性はどこにもない」と語っている。要は政治的ということだろう。
▼司法が理念をもっていないと、政治に左右される。最近の司法の動きは憲法の理念をフルに活用しようという意思が感じられない。今回の判決は政治の風に動かされない強さがあるかどうか。簡単に控訴審でひっくり返ることのないよう期待したい。
▼判決文要旨(朝日28日夕刊)を読むと、「渡嘉敷島では防衛隊員が身重の妻等の安否を気遣い数回部隊を離れたために敵に通謀するおそれありとして処刑されたほか、米軍に庇護された2少年、投降勧告にきた伊江島の男女6人が同様に処刑された」ことが米軍の「慶良間列島作戦報告書」に記載されていた。軍隊は住民を処刑してまで、何をまもろうとしていたのか。
▼タテ社会が貫徹していた戦前の日本は、日中戦争以降から軍中心社会になった。軍はタテ社会を更に強化した。実はここが問題の核ではないだろうか。教育基本法の改悪があり、教育指導要領に「愛国心」教育が必須となる。また再びタテ社会を強化をしようというのか。
▼控訴審判決のときは、誰が政権をとっているか。それによってはこの判決はひっくり返らないかどうか。わたしたちはどうもヨコの安心したつながりをつくるのが苦手なようで、ヨコ軸の安心を政治に反映できれば、政治の風にびくつかなくてもよくなるように思うのだが。この言い方は抽象的すぎるが。
2008年03月29日 08:39