2008年04月20日
今週の一枚 "東京六次元":TAKEO YAMADA
四月半ば
桜も散り驟雨が
東京の塵をさらっている
路上生活者はそれでも饐えた悪臭を
放ちながら電車の障害者優先席を独占して袋一杯に
掻き集めた雑誌や漫画を座席の上に一つずつ広げてにやけている
目線は常に転がる空き缶や廃物を目敏く捉え首もとを掻いた黒い手を清潔な壁面に擦り付けている
反対の席で仕立てのよいベージュの洋服に栗色の長い髪が美しい女性が紳士と会話をし微笑んでいる
高尾行き中央線快速列車は荻窪駅に停車し路上生活者は美しい女性とともに開いた扉から外へ出ていく
至近距離に存在している彼らは決して接することはなくかと言って意識的に無視しているわけではない
単純に華麗なほど両者に共通意識はなく直立二足歩行の同種の人類だが生存する次元が明らかに違う
一人の人間はにやけながら宛てもない足取りで銀色の箱がある方のホームを眺め立ち止まり
一人の人間は会話に微笑みながら足取りを弾ませて階段を降りて行く
資本主義というシステムの中で労働というエネルギーを金に換え
金という道具を使い趣向に合った食糧を捕食する人間
自ら労働を拒否し基本的に廃物を捕食する人間
言語を用いて社会や文化を構築する人間
理性的判断を放棄し自由に生きる人間
同時空間に混在する異次元
パラレルワールド
東京
2008年04月20日 03:12